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(2008年4月25日up)
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ナレッジサイクル
(2008年9月1日up)
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ナレッジサイクルが保全の命である
日本プラントメンテナンス協会 メンテナンス技術本部 若槻 茂
(2008年9月1日up)
 ひところ、技術・技能の伝承問題だけでなく、新規開発能力の向上などの課題を含めて「ナレッジ・マネジメント(知識経営)」というフレーズが流行した。これ以降、個人に秘められた「暗黙知」を組織・グループで活用できる「形式知」に置き換えていく必要性が、技術・技能の伝承問題などにおいて必ず言及されるようになった。
 また、IT・システム分野でも「知の連鎖」がブームになった時期があった。「暗黙知」の形式化を求めて、スキル保持者の作業を動画分析などによって解析する手法なども利用されるようになった。しかし、こと保全業務において、これこそ有効な「知の連鎖」であると言い切れるものがあっただろうか。
「保全サイクルが回る」には、故障が多くては話にならない。そこで、故障削減の仕組みが、まずもって必要となる。
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1.「故障原因分析書」は、保全のナレッジマネジメント・ツール
 故障削減は、故障の原因・要因を徹底的に分析し、保全情報管理システムへフィードバックすることで、再発を防止するとともに類似故障を削減する仕組みによってもたらされる。この推進を、図表−1に示す。
「故障削減サイクル」は、「故障原因分析書」(図表−2)を中核として回っていく。  この「故障原因分析書」は、以下の手順で検討・記入することにより、故障削減としての管理サイクルを“この分析書の中で”簡潔に回す仕組みができるようになっている。
図表-1「故障削減サイクル」
@故障状況→ A故障原因、略図→ B故障前の保全実施状況→ C復旧措置
→ D改善対策→ E保全情報管理システムおよび設計へのフィードバック
図表-2「故障原因分析書」
 上述した「故障原因分析書」は、故障削減としての管理サイクルを“この分析書の中で”簡潔に回す仕組みができるものである。
 故障と向き合い、その内容とメカニズム、原因と解決を“言葉”にして記載すること−−無意識に感じていることを言葉に置き換えるとき、「暗黙知」が「形式知」に置き換えられるのである。すなわち、「故障原因分析書」は強力な保全のナレッジマネジメント・ツール(手段)なのだ。
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2.MOSMSの帳票連鎖が「保全のナレッジサイクル」
 故障データを含む「保全実行」のナレッジが、標準的なフォームによって形式化され(保全データ・履歴)、短期では「保全計画」にこれが反映され、中長期では「保全戦略」に反映される。この一連の流れが、「保全のナレッジサイクル」である。
 すなわち、MOSMSにおける帳票類は互いに有機的な連鎖を持っており、現場および個人の「暗黙知」を「形式知」に置き換えながら、「保全のナレッジサイクル」を形づくる「仕組み」なのである。
 部位ごとの保全周期の決定は“わかっている人”でなければ判断できない−−MOSMSの実践こそが“わかっている人”を生み出すのだ。
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3.保全ナレッジと階層別 教育
 多くの企業が高経年設備を抱える時代になってから、予想もしない場所での設備トラブルが増加してきた。こうした傾向に対して、「やはり“人”の問題だ」「教育が重要だ」「“心”の伝承が必要だ」などの声を随分と耳にしてきた。
 気持ちがわからないわけではない。しかし、そこからは何も解決が出てこないだろうと予測されるのは、「どうして“人”の問題があったり、“心”の伝承ができなかったのか」という、過去のやり方のどこに原因があったかに遡及されていないからである。
 一方、「ナレッジ」に「マネジメント」が付いたフレーズがひと頃流行ように、膨大な量 と範囲の知識とどう向き合うかは大きな問題である。
(1) 階層別教育の必要性
 そこでMOSMSでは、計画主導で進める設備保全の仕組みの中に、保全の「階層別 教育」という「仕組み」をつくることを求めている。
 過去の“やり方”の原因は、必ず「仕組み」の中にある。だから、「仕組み」として解決しようとしない限り決して解決できないのだ。
 また、何日間かの講習を受けたり、書籍を開いたりするだけで必要な知識がすべて得られるハズもないが、無手勝流に膨大な知識の海に泳ぎ出すのも無謀であり、無駄 である。
 そこで、階層別に何を知らなくてはいけないかを体系化し、これに従って教育プログラムを策定・実行するのが最も効率的である。
 体系化とはすなわち、膨大な知識の海でのメルクマール(道標)に相当する。そして教育の目的とは、なぜその場所にメルクマールがあるのかを理解し、仕事の中で身に着けていく知識の海で溺れることなく、有効な「保全のナレッジサイクル」に入れるように受講者のアタマ(フォーマット)を“初期化”することである。
 日本プラントメンテナンス協会では、MOSMSに基づく唯一の階層別 教育を『M−CUP』(メンテナンス・キャリアアッププラン)として提供している(図表-3)。
 最早、自社ですべての教育を賄うことにはムリがある。『M−CUP』を積極的に活用いただきたい。
図表-3『M−CUP』(メンテナンス・キャリアアッププラン)

(2) MOSMS構築のステップと『計画保全士養成コース』
 この『M−CUP』の中核に、2008年11月に開講準備を進めている『計画保全士養成コース』がある。『計画保全士養成コース』は、MOSMSで設定される計画保全のマネジメントリーダーに必要な機能を「保全マネジメント」と「保全を実行する専門技術」の学習により身につけるコースである。
 項目には、「計画保全体制の構築ステップ」の学習が含まれる。これは、「保全情報管理システム」を主軸にした計画保全体制の構築ステップであり、現場を主体としたMOSMS構築ステップそのものである(図表-4)。
◆ステップ1:仕事を整理し、計画保全の仕組みづくりを準備する
◆ステップ2:現状保全水準の評価とロス・リスクの把握を行う
◆ステップ3:故障削減と設備改善の仕組みづくりを行う
◆ステップ4:技術的に最適な保全計画を策定する
◆ステップ5:保全計画に基づき実行可能な保全予算を策定する
◆ステップ6:計画保全を評価する仕組みを構築する
◆ステップ7:保全教育・訓練のシステムづくりを行う

 MOSMS構築を志向する企業において、保全管理者を目指すリーダーや工務部・保全部門の計画保全技術者各位 は、『計画保全士養成コース』でMOSMS構築ステップをモノにしていただきたい。
図表-4「計画保全体制の構築ステップ」
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4.MOSMS構築に寄与する資料
 日本プラントメンテナンス協会では、MOSMS構築研究を以下のような研究総体として行っている。
(1) 経営上のロス・リスクマネジメントに基づく仕組みづくりのコンセプトの研究
(2) 仕組みづくりの具体的な手順の研究
(3) MOSMSの応用化研究(実証的側面 )
(4) プラントの危機管理研究に関する研究および開発
(5) 保全技術の研究
(6) 人財育成プログラムの開発
(7) 経営環境を把握するための実態調査
これらの研究成果として、各社のMOSMS構築に資する資料を図表−5に紹介して本連載を閉じることにする。
図表-5「MOSMS構築に資する資料」
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