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「保全戦略策定」のための「保全水準評価」
日本プラントメンテナンス協会 メンテナンス技術本部 若槻 茂
(2008年7月25日up)
 本連載の第1回で詳しくご紹介してきたように、日本プラントメンテナンス協会では、計画主導で進める設備保全の仕組みとして、「経営に資する戦略的保全マネジメントシステム」すなわちMOSMS(Maintenance Optimum Strategic Management System)を提唱している。
 研究としては、企業・事業所の「保全経営力」を診断する『MOSMS診断』を中心としたMOSMSの実際的な構築支援段階に来ている。  さて、MOSMSの基本的な考え方は以下のようにまとめられる。
(1) 保全の最終目的は、ステークホルダー(利害関係者)利益の最大化
(2) 経営と保全が同じ土俵に立ち「保全グランドデザイン」を描く
(3) 「計画主導」で保全が実行
(4) 経営のPDCAサイクルと保全のPDCAサイクルを連動させる
(5) 個々の既存技術を資源として活用し、「それら資源の多様性、変化・進歩を、構造を変えずに取り込む」
 したがって、経営に及ぼす設備保全上のロス・リスクを把握し、有効な低減策をとることが保全の目標となり、成し遂げるには、保全の「仕組み」がつくられなくてはいけない。
 そこで、MOSMS構築の手順を示した『MOSMS実践ガイド』は、「保全戦略策定ガイド」からスタートしている。この骨子は、企業全体のレベルでの経営マネジメントの一環として、企業はロス・リスクマネジメントを持ち、そのもとに経営レベルの問題として保全戦略を持つ必要があり、この保全戦略のもとに、保全を実施する仕組み(保全計画−保全実行−保全評価)を構築する保全グランドデザインを描くというものである。そのため保全戦略は、企業全体の戦略の一環ではあるが、保全を実施する仕組みと密接な関係を持つ必要がある。そこで、「保全戦略」の策定単位 を、保全を実施する単位である「事業単位」としている。
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1. 「保全戦略」の策定は、「保全評価」から始まる
 下図のように、「保全戦略」の策定は現状の保全がどうなっているかを評価することから始まる。すなわち、PDCA管理サイクルのC(保全力の評価)をP(戦略の“計画”)に対しA(反映)するのである。
この現状評価は、次の2つの面から行う必要がある。
(1) 「保全水準評価」 現状の保全水準について管理的側面 および技術的側面より評価し、設備管理上の重点管理項目を抽出する。
(2) 「ロス・リスク評価」 経営上問題となる設備起因の重大ロス・リスクを把握し、その評価を行い、設備管理上の重点管理項目を抽出する。
ただし、厳密なロス・リスク評価自体が目的ではなく、経営と保全がロス・リスクを戦略的な視点で把握し、認識を共有化することが目的である。  ここでは、(1)の「保全水準評価」について紹介したい。
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2.「保全水準分析」による評価
 保全担当部署および全社生産技術部署(保全等の組織がない場合は、設備計画および保全に関する機能を有する部署、以下同様)が、現状の保全水準を次の視点で分析する。
(1) 保全戦略: 経営による保全方針を達成するために、保全水準評価やロス・リスク評価による現状評価を行い、適切な保全戦略が策定されているか。 また、保全戦略に有用な情報の確定および共有化プロセスの設定がされた情報マネジメントの維持・管理が良好に実行されているか
(2) 保全計画: 生産性向上や経済性を加味し、網羅的かつ重点的・計画的な保全計画が経営の合意の基に立案されているか。 保全計画策定・実行・評価のためのデータ管理の仕組みができているか
(3) 保全実行・
役割分担・
保全実行管理:
保全計画に基づき経済的で安全性の高い保全実行がなされているか。 日常業務の遂行の中で保全目標が達成される仕組みが織り込まれているか
(4) 保全成果 : 保全活動が成果を生み出し、経営に貢献しているかを評価する指標が設定され、確実な成果 を挙げているか。 分析は、保全情報管理システムの「保全データに基づく分析」により評価する
(5) 保全技術: 生産性向上や経済性を追及した最新の保全技術が導入されているか。その保全技術が継続的に実行され、確実な技術評価の基に保全計画が常に見直されているか
(6) 保全人材: 経営レベルで要員計画や技術伝承が議論され、保全関係者の職務内容やレベルに応じた教育計画が計画され、継続的に実行されているか
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3.MOSMSの導入と客観的視点での「保全水準評価」
 MOSMSを導入することは、「網羅的な保全」を、経営にとっての「重点付け」によって、もっとも「経済的」に行うことである。このためには、日常の仕事そのもので構成された仕組みが、ムリなく継続するものでなくてはいけない。
 では、具体的にどうすればいいのか? 現状の保全の仕組みの、どこに弱みがあるのか?
 それには、まず客観的な目で「保全水準分析」を行い、設備管理上の重点管理項目を抽出することをお勧めする。日本プラントメンテナンス協会では、MOSMS専門診断員による「保全水準評価」を『MOSMS診断』として提供している。 「保全水準評価」=『MOSMS診断』は、導入のインタフェースとしてばかりではなく、構築した仕組みが維持できているか定期的な診断にも用いることが効果的だ。
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 『MOSMS診断』では、専門員による診断と同時に、同じ診断項目を用いて自社でも診断をしていただく。この2つを比べると、現状のどこに弱みがあり、どこから構築・再構築を行うべきか、思い込みではなく正確に見えてくるのだ。
「保全戦略策定ガイド」を含む『MOSMS実線ガイド』は、こちらから申込みいただけます。
また、『MOSMS診断』についてのお問い合わせは、
日本プラントメンテナンス協会・メンテナンス技術本部
Eメール:rd@jipm.or.jp
までお問い合わせください。
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