|
|
 |

 |
技能伝承、見える化促進などの
ものづくりの課題解決に向けて |
 |
(2008年6月26日up) |
|
 |
 |
設計工程がデジタル化された現在、この情報を製造工程でも有効に活用してこそ、成功への活路が開ける。現場にデジタル情報を展開する力こそが、他社の追従を許さない製造現
場になれるかどうかの分かれ目となるだろう。
設計部門には、3D CAD が導入され、3D のデジタルモデルで仮想的に設計を評価し、正しい設計を行うことで、上流で品質をつくり込むことは当たり前になりつつある。このようなデジタル情報を有効に使えば、これまで指摘されてきた課題は解決できるのであろうか。高価で操作の難しいCAD
を製造現場に持ち込むことは難しい。そこで登場したのが、 軽量
な3D データを現場に流し、ビューワで3D 形状を確認しながら、作業を進めるという手法である。
たとえば、技能伝承や人材育成という問題を見てみよう。これは、カンやコツといった匠の技をどうやって若い世代に伝えていくのかという課題である。職人の製造プロセスを視覚的に伝えるために3D
アニメーションを利用してマニュアルを作成している企業がある。作業者の視点で見る、拡大して表示する、普通
は見えないところを見せるといった工夫をすることで、匠の技を再現する。やみくもにビジュアル化するのではない。作業を標準化してから、作業プロセスを「見える化」するのである。この手法は、グローバルな生産拠点の立上げにも利用できる。見える化されたマニュアルは、言語の壁を越えて伝わるからである。
軽量な3D データを利用して紙図面や帳票を廃止した会社もある。従来は図面
や帳票をもとに製造していたが、パソコンを現場に持ち込み、そこで3D
データを参照して、作業をすることにしたのである。設計は図面
も帳票も作成しない。すべての情報が軽量な3Dデータなどのデジタル情報ツールに盛り込まれ、現場ではこれを参照しながら必要な情報を取り出し、加工機に必要な指示をするのである。
モノづくりに必要な情報をデジタル化して、設計から現場に渡す。まさに、生産方式の変革である。製造現場でのレビュー結果
を軽量な3D データなどのデジタル情報ツールに議事録として書き込み、設計部署に戻している企業もある。現場、生産技術、設計部門の協調作業を実現しているのである。このようにデジタル情報を効果
的に活用することで、これまで指摘されてきた問題の多くは解決することができる。
国内工場の競争力の源泉はどう変化するか?
ここまでの議論を図.3に整理してみよう。少子高齢化や派遣労働の一般
化、あるいは海外の労働者が日本の工場に入り込むといった社会現象が、技能伝承やコア人材の不足という製造現場の不安を生んだ。グローバル経済の進展により競合が激化し、機能競争の結果
、製品が複雑化する。世界の市場を求めて、あるいは、労働力を求めて世界各地に工
場ができる。この結果、製品開発現場も製造現場も疲弊し、お互いの協調が不足してしまう。新しい効果
的な生産方式や、これまでよりも効果的な技能の伝承手法が求められるようになるのである。また、地球規模で、生産拠点をいかに立ち上げるかが大きな課題となる。そして、デジタル情報を利用した製造現場の革新がこれらの課題を解決しようとして
いる。
軽量3D データに製造で必要な情報を盛り込み、各部門での情報共有を推進する。3D
で現場に情報を伝えることで、現場がこれまで図面には記載されていなかったような情報も得ることができるようになり、現場の人間が独自の工夫をはじめるようになる。3D
のアニメーションで組立手法を伝えることで、言語の壁を越えてモノづくり手法が共有できるのだ。見える化された情報伝達により、作業者の教育も短期化され、監督者も何が問題かが把握しやすくなる。デジタル情報を活用することで、仕事の手法を革新し、現場の力を引き出すことが可能になるのである。
次に見てほしいのが、図.4
に示す現場の考える国内工場の競争力の源泉である。
ここから読み取れるように、現在は、70%弱の競争力の源泉が、
(1) 品質維持・向上力、(2)コスト対応力、(3)数量・納期対応力
という3 つのポイントに集約されている。
かつて、私たちは「メイドインジャパン=高品質」というブランドを生み出した。この調査結果
は、製造現場の自負が伝わってくるようである。この3 つはQ(Quality:品質)、C(Cost:コスト)、D(Delivery:納期)改善という、製造現場で常日頃から言われているポイントである。まさに、日本製造業の得意とする現場のカイゼンの積み重ねにより実現したのである。また、製造業の屋台骨である中小企業がコストや納期といった側面
で柔軟な対応性を持っているということも大きな競争力の源泉であろう。
ここで、興味深いのが、3 年後の競争力の源泉は何かという問いへの回答である。少子高齢化、世界最適地生産、ますます短縮化する製品開発スパンという構造的な変化の中で、これまでどおりのQCD
改善だけでは競争できないと多くの企業が認識している。このことを反映して、他社にマネできない技術・技能・ノウハウが競争力の源泉となるとの回答がトップになっている。
独自製品を開発するとともに、製造技能やノウハウを企業内で共有する仕組みを構築する必要がある。構造的な変化には、カイゼンだけでは対応できない。設計工程がデジタル化された現在、この情報を製造工程でも有効に活用してこそ、成功への活路が開ける。現場にデジタル情報を展開する力こそが、他社の追従を許さない製造現場になれるかどうか
の分かれ目となるだろう。 |
 |
| → 次回は7月にアップ予定 |
 |
|