活用事例 <株式会社ウェルシィ>

受注高30%UPという急成長の舞台裏を探る - 実践的な展示会活用とそのポイント -


<2011年出展の様子>

株式会社ウェルシィ

設立 昭和60年
代表取締役社長 福田 章一
資本金 3億7,350万円
<問い合わせ先>
〒102-0083 東京都千代田区麹町4-8-1
麹町クリスタルシティ東館11階
Tel  03-3262-2431
Email  information@wellthy.co.jp
URL  http://www.wellthy.co.jp

「水イノベーション展では、1億2,000万円の受注がとれました。」

こう振り返るのは、株式会社ウェルシィ 執行役員 営業推進部長 松本 利彦氏である。水イノベーション展は、東京ビッグサイトで毎年秋に開催される水処理関連システム・サービスの展示会で、同社は、その他にも2600万円の受注を獲得したほか、さらにもうあと2件ほどの見込度の高い商談が水面下で進行中であるという。

■概要

株式会社ウェルシィは、昭和60年の設立以降「地下水膜ろ過システム」の販売を中心に着実に売上を伸ばし続けている注目企業だ。地下水膜ろ過システムは既に全国の工場、事業所、病院、大型スーパー、スポーツクラブ、ホテルなど約900ヶ所以上に導入されているという。

「地下水膜ろ過システムは、汲み上げた地下水を独自の最新技術でろ過処理を行い、安全な水として提供するシステムです。本システムを利用する最大のメリットは公共水道との併用で、水道料金のコスト削減、断水・災害に備えた非常用システムとして活用できることです。」

また、同社ではシステム導入後のサービス体制にも自信があるという。同システムでは24時間監視システムが稼働し、もし何らかのトラブルによる異常を検知した場合、システムが全停止し自動的に公共水道に切り替わる。その後、メンテナンス員が現場へ急行し調整を行うことで、サービス復旧に迅速に対応できるという。また、詳細な水質分析が必要な場合でも、同社では自社内に厚生労働省登録の水質分析センターを設けることで素早い対応が可能となった。

同社ではこの地下水膜ろ過システムの販売を通じ、ここ数年は受注高が約30%UPという驚異的な数字で推移しているという。この急成長を支える要因のひとつが、同社の展示会を活用した実践的な販売戦略にあると松本氏は語る。

■展示会の活用

急成長を続ける株式会社ウェルシィであるが、同社の営業チームを率いる松本氏によると、地下水膜ろ過システムの営業が軌道にのるまでの道のりは決して平坦なものではなかったという。

「弊社では、これまで様々な営業手法を試してきました。たとえば業界誌をもとに、 特定の業種に地道に電話をすることもしました。とはいえ、電話を使った営業は、門前払いか決裁権のある責任者には電話をつなげてもらえないため、時間と労力をかけた割にはリターンが少ない。また、インターネットも活用しています。以前と比べホームページからの問い合わせも増えており、ひとつの営業手段として期待はしているのですが、残念ながら数としてはそれほど多くを見込めません。」

同社ではこれまで様々な営業手法を試してきたが、受注を獲得する上で重要なポイントは、地下水膜ろ過システムを購入する見込みのある企業の「決裁権者」と、いかに効率的にコンタクトできるかにあるという。

そんな中、展示会場ほど「決裁権者」とコンタクトができる場は他に無いと松本氏は断言する。

「展示会場には、全国から様々な企業の方々が来場しています。しかも、普段の営業活動では会うことが難しい社長や決裁権のある上層部の方が来ている。そういった方と、展示会場ではダイレクトに名刺交換・商談をすることができるのです。時間や労力、人員への投資は、他の営業手段に比べて、大幅に短縮・圧縮できます。」

地下水膜ろ過システムの販売をはじめた当初、展示会に出展すると意識せずとも必ず多くの受注がとれたという。そのため同社では、ターゲット層に合った様々な展示会へ出展するようになったという。とはいえ、その当時と現在では展示会出展の内容は大きく変わってきている。

「展示会に出展をしはじめた10年程前は、地下水膜ろ過システムには競合製品も少なく、新たなお客様を開拓する営業は現在と比べると難しくなかったと思います。しかし、最近では地下水の活用に対する認知度が高まり、競合する製品が増えてきたため、新規顧客の開拓が難しくなってきています。それに伴って、展示会出展はますます重要となるとともに、その取り組み方も変わってきました。」

松本氏によると、社長をはじめ社内上層部から展示会出展に求められる費用対効果がよりシビアになり、それにより営業現場では確実に展示会出展を成果につなげるため、綿密な事前準備をする必要性が以前に比べて増しているという。

■目標設定と事前準備の重要性

「まず、弊社では展示会への出展が決まると、その展示会でいくら売り上げるか目標を定めます。製品の価格帯を考慮し、どの製品で何件の商談・受注を獲得できれば、展示会費用をまかなえるのかを算出します。最近では、その目標に対してどのように達成していくのか戦略を立てることが、逆に社員の士気を高めるようになりました。」

また、数々の展示会へ出展をした結果、徐々に同社ならではのノウハウ・戦略が培われてきたという。

「展示会場では、2〜3人連れで歩いている来場者の先頭の方にお声掛けをします。なぜなら、複数人連れの場合、社長または決裁権を持つ上層部の方は先頭を歩いていることが多いので、まず先頭の方にお声掛けするのです。」

こういった例からもわかる通り、同社では会期前に設定した目標を達成するために、会期中は決裁権を持つ来場者といかにコンタクトするかを主眼において様々な事前準備をする。2011年の水イノベーション展では390枚の名刺を獲得したというが、ただやみくもに名刺を集めるのではなく独自の工夫でお客様を見極めた上での結果が重要だという。

同社が持つ展示会出展に関わる事前準備のノウハウは多岐に渡るが、その軸となるのが「若手社員の教育」「ブース計画」「フォローアップ」という3つのポイントだ。

■事前準備 〜 3つのポイント 〜

まず第1に、同社では基本的にセールストーク、ブース装飾、運営、フォローアップまでの展示会運営の一連の流れを意識的に若手の営業チームに任せているという。

「若手社員達にとっては、自分達の手で作り上げたブースを実際に運営し、イメージしていたものと実際のブース装飾の違い、他社ブースの良いところや違いなど、"気づき"を与える鍛錬の場となっています。改善点を次回の出展へ繋ぐことにより彼らの責任感・連帯感を生みだすことができています。」

2番目のポイントは、「ブース計画」である。

「展示ブースは、来場者に自社を知ってもらうための"顔"といってもよいほど重要な部分です。展示会の特徴、来場者の特徴を分析し、どのような"顔"をつくれば興味を持っていただけるか知恵を絞ります。インパクトのあるキャッチコピー、パネル、デモ映像等で、自然に来場者が自社ブースに入りこめるようなブースの設計を心掛けています。」

また、装飾などブース設計の工夫だけではなく、セールストークの設計もブース計画の重要なファクターであるという。事前に来場者層を想定し、展示会ごとにセールストークのベースを考えるのである。

「展示会場は多くの出展ブースが並んでいるため、ブースの前を歩いている来場者は、目の前のブースに興味が無いと判断すれば、すぐに次のブースに向かってしまいます。そこで、来場者に立ち止まってもらうためのキーワードを見出すことが重要です。」

さらに会期中は、出展ブースの前で待つのではなく自ら積極的に来場者に声掛けしなければならない、と松本氏は言う。

3つ目のポイントは、会期終了後の「フォローアップ」である。

「会期終了翌日には、展示会場で名刺交換した方に来場のお礼をメールもしくは電話で行っています。社長などの決裁権のある方には、会期中であっても翌日には電話をして、次の商談ステップへと繋げていきます。」

ブースに来場したお客様に自社をより強く印象づけるためにも、会期直後に迅速なコンタクトをとることで受注に向けた商談のスピードや信頼関係の構築に繋がっていくのである。

「また、展示会で名刺交換したお客様を各営業担当者に振り分け、その後の商談内容が一目でわかるように顧客管理表を作成します。この表を基に上司が若手営業チームを指導しながら、進捗状況の管理を行うのです。」

このようにして展示会を活用し急成長を遂げた同社であるが、その舞台裏には松本氏を中心とした営業チームによる綿密な出展計画があったという訳である。

「2011年の水イノベーション展では、1億2000万円と2,600万の受注が取れました。目標を掲げてチーム一丸となることで、今では展示会に出展すれば、少なくとも必ず1件は受注が取れています。」

■今後の展望

「弊社は、地球環境の向上という理念とともに"安全・安心"といった付加価値を提供できるよう常に心がけています。地下水膜ろ過システムは地震の影響を受けにくいことが過去の震災で実証されており、災害時のライフラインの確保として重要な役割が期待できます。弊社の試算では、このシステムを国内2000ヶ所に設置することで災害時には、半径500メートル以内に給水所ができることになります。水イノベーション展をさらに活用して、この目標を実現していきたいですね。」

グリーン・イノベーションEXPO 2012

会 期 2012年11月14日(水) 〜 11月16日(金) 10:00〜17:00
会 場 東京ビッグサイト (東京国際展示場) 西展示棟
主 催 公益社団法人 化学工学会 一般社団法人 日本能率協会
展示予定規模 200社/300小間
入場予定者数 35,000名
入場料 \1,000円
(*ただし、招待状持参者、事前登録者ならびに学生は無料)