クラウド型 環境情報統合管理システム 企業・団体活動における各種環境データの管理を効率化

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導入事例

次世代へ向けて環境保全の啓発に注力する三郷市〜クラウドの利用でデータが一元化し「仕事の質 」が向上〜

つくばエクスプレスが開業し、人口が増えつづけている埼玉県三郷市。「豊かな水と緑とともに環境について考え、創造に取り組 むまち」をめざし、環境施策に取り組んでいる。2012年度から本 格的に環境情報統合管理のシステム化を進めたことで、より効果的に施策立案できる土壌が整った。システム導入を中心となって推進してきた同市環境経済部クリーンライフ課環境政策室主任の野村庄一氏に、同市の環境への取組みやシステム導入の経緯、成果などについて伺った。

三郷市 環境経済部クリーンライフ課 環境政策室 主任 野村庄一 氏
三郷市 環境経済部クリーンライフ課
環境政策室 主任
野村庄一 氏

「河川の再生啓発」と「緑のカーテン」に注力

第二大場川浮遊ごみ等回収大作戦の様子01第二大場川浮遊ごみ等回収大作戦の様子02 第二大場川浮遊ごみ等回収大作戦の様子

 県内の東南に位置する三郷市は、都心から15〜24キロメートル圏内の好立地にある。そのため集合住宅や戸建ての建設も進み、人口は12万人(1989年)から13万人(2013年)へと増加。そんな「ニュータウン」のイメージがある同市だが、東は江戸川、西は中川という2つの大きな河川に挟まれており、市内にも4つの川が流れる潤いのある街でもある。

 同市は2001年に「三郷市環境基本条例」を制定、それに基づき2006年には「三郷市環境基本計画」を策定して「自然環境」「生活環境」「快適環境」「地球環境」と4分野に分けて環境保全に関する施策を推進している。具体的には、豊かな自然の保全、大気や水質の保全、ごみの資源化・リサイクルの推進など幅広いが、なかでも特徴的な取組みが「河川の再生啓発」と「緑のカーテン事業」だ。

 「河川の再生啓発」は、河川が多い同市だからこそ注力している活動で、住民や各種団体、市が協働で河川敷を清掃する「江戸川クリーン大作戦」や、川に浮遊するごみを網などで回収する「第二大場川浮遊ごみ等回収大作戦」を展開。2011年から、川を再生させる意義を知ってもらうため、蛍を放流して鑑賞会を行うなど環境に対する啓発活動にも熱心に取り組んでいる。

 省エネと地球温暖化防止を目的とした「緑のカーテン事業」は、市民にも身近に活動できるものとして2008年度からスタート、2012年度には「第6回 全国緑のカーテンフォーラム」が三郷市で開催された。

 「以前から、こうしたイベント的な活動には力を入れていました」 とその充実ぶりを語る野村氏は、「一方で経年データをとったり、それを活かしたりという面では十分とは言えませんでした」と、データ管理が手薄だったことを打ち明ける。

 野村氏がクリーンライフ課に異動してきたのは、東日本大震災の直後。震災により政府のエネルギー政策が変更され、市としても環境計画を見直さなければならない時期でもあった。「一事業者として地球温暖化対策を強化していく必要性を感じていました。そのためにはまずはデータ管理にしっかり取り組みたかった」と、システム化の必要性を感じはじめた背景を語る。

現場の負担を減らし、データを有効活用したい

 異動後、庁内のエネルギーや文具などエコ商品の購入実績などのデータ収集や管理方法の改善に着手した。当時は紙での処理・管理がほとんどで、クリーンライフ課から各課へのフィードバックも、紙だったりメールだったりとバラつきがあった。様式も管理データや集計単位によって1号から10号まであり、それを毎月、四半期、年度と、年間に何度も記入して提出しなくてはならず、「そのため現場が記入する手間は相当なもの。こちらも集計するのが大変でした」と野村氏は振り返る。

 実は野村氏自身、異動前の職場では「面倒だな」と感じながら記入していた側だった。時には提出しないこともあったが、異動してきて、細かくきちんと記入する人もいることを知った。「こうした人の情報がきちんと活かされるようにしたい。とはいえ、全職員がこのレベルになるよう働きかけるのは難しい。皆が負担を感じずに簡単にできる仕組みはないか」と考えていたところ、クラウドによるデータ管理のことを知った。

 非効率な現状と同時に、その解決策としてクラウドの必要性を上司に伝えたところ、導入が決定。本年度(2013年度)からの稼働予定だったが、「少しでも早く現場の負担を減らしたい」と、2012年10月から「省エネ法の定期報告事務」「市環境事業レポートにおける温室効果ガスの集計公表」「市グリーン購入進捗管理」の3業務の管理を一元化すべくJMAのシステムを採用し、「省エネ管理システム」をスタートさせた。

環境にやさしい行動ができる“人づくり”にも取り組む

小中学生を対象とした環境教育出前講座の様子01小中学生を対象とした環境教育出前講座の様子02 小中学生を対象とした環境教育出前講座の様子

 成果はすでに出てきている。まず、ネットワーク環境が異なるデータ集計が一元的になったこと。これまでは市長部局、教育委員会部局、指定管理施設と3つがそれぞれ独自のサーバでデータ管理をしていたため、データのやりとりをお互いダイレクトにできない現状にあった。それが省エネ管理システムの導入によって解決。クラウドによるシステムのため、ネットワーク環境が異なっていても問題は生じなかった。

 市のエネルギー状況が「見える化」できたのも大きな成果だ。「集計や報告作業に追われることなく、施設ごとの課題がリアルタイムで把握できるようになり、本来行うべき温室効果ガス削減のための分析・改善ができるようになりました」と野村氏は喜ぶ。

 加えて何より大きな収穫は、職員が自主的に取り組むようになったことだ。現場からは「負担が減った」「やりやすくなった」との声が寄せられ、野村氏も「データの未提出者もなくなり、相互に情報が流れ、現場がどのような状況か見えるようになったので、私たちもコメントを見ながら次につながるアドバイスができるようになりました。お互い仕事の質が向上していると感じます」と満足そうだ。

 これをスタートラインに、よりよい施策立案につなげる狙いだ。

 「次のステップは、三郷市の事業活動の一部として、われわれの環境施策や結果を市民にわかりやすく伝えること。また、効果的な数字を出した部署・施設の工夫を他部署にシェアし、横展開していきたい。そして最終的には、“2016年度(平成28)までの温室効果ガス総排出量を、2011年度比で5%削減”との目標をクリアしたい」と意欲的だ。

 さらに野村氏が意欲を見せるのが、「環境教育出前講座」だ。クリーンライフ課が独自に「地球温暖化や3R」など5つの学習テーマを用意し、市内の小中学校に対して、総合学習などの時間に実施することを提案している。「すでに何校かに行きましたが、子どもたちは非常に熱心に聞いてくれます。そうした姿を見ていると、環境問題を考えていくうえでは、子どもたちへの教育が重要だと痛感しました。広く市民へはもちろん、子どもたちへの啓発にも力を入れていきたい」

 2013年度からは出前講座の案内書を作成して市内の全小中学校を対象に、啓発活動の強化をめざすという。

 行政の役割として、数字的な目的達成のほか、環境にやさしい行動ができる“人づくり”をめざす三郷市。子どもたちが成人するころの、三郷市の姿が楽しみだ。

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