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インタビュー記事

#03

行政や民間事業場の臭気調査でつちかった技術と経験を応用し、におい・かおりに関わる様々な性能評価に対応

株式会社環境管理センター

におい・かおりLab/臭気判定士
亀山直人様

環境省設立の年に創業した環境管理センターは、におい調査・分析の第一人者だ。臭気の悩み解決から、製品の性能評価まで何でも対応する。同社は古くから行政や民間事業場の臭気調査に協力し、信頼性の高い調査手法と対策提案を開発してきた。そのノウハウをにおい・かおりに関わる様々な製品の性能評価にも活かし、信頼性の高い第三者評価を提供している。どのような相談が可能なのか、実際に調査・分析・コンサルティングを行っている亀山様に具体的に伺った。

公害・環境問題を機に設立され、環境測定業界をリード

―貴社の事業について教えてください

当社は環境関係の調査、分析・コンサルティングを専門にしています。もともと環境庁(現環境省)設立と同年の1971年に設立した会社です。公害・環境問題への関心の高まりに応じて創業しました。土壌や大気、水質などの環境関連の調査やコンサルティングを幅広く行っているのですが、におい関係は創業当初から力を入れています。悪臭は典型7公害の1つに挙げられていたため、悪臭問題で行政が立ち入り調査するような際に多くのお手伝いをしてきました。
近年、工場・事業場から発生する悪臭、いわゆる公害問題は随分減ってきています。他方、におい・かおりに関する製品・サービス開発は注目が高まっており、製品の性能評価やコンサルティングのご相談を頂くことが増えています。そのため、臭気全般に対応する部署を「におい・かおりLab」として独立させ、専門の建屋で業務を行っています。

―具体的にはどのような相談がくるのでしょうか?

においの測定手法には、臭気物質を分析機器で測定する機器測定法と、人間の嗅覚により強さを判定する官能試験法があるのですが、当社はどちらも対応できるので、様々な性能評価のご相談を頂きます。たとえば消臭剤の評価を相談されることがありますが、消臭剤の効果判定にはJISのような公定法があるわけではないので、業界団体でつくった試験法を用いる場合もあれば、お客様と相談しながら試験内容や性能の程度に応じた試験方法を組み立てることもあります。事例のひとつとして、付着臭専用の消臭剤の評価では、お客様のご要望に応じて、例えば焼肉臭やたばこ臭を布に付着させて消臭効果を試験します。多人数の嗅覚パネルによる判定を繰り返して、消臭剤の性能を評価します。手づくりで実験を繰り返すと時間はかかるのですが、製品の使い方マニュアルや効果説明にも試験結果を使うことができる利点があるのです。試験結果報告書は、試験方法を詳細に記し、第三者評価として公表できる内容になっています。

―行政調査に関してもご経験豊富ですね

そうですね。事業場から発生する臭気に関して事業者の測定義務はありませんが、行政は、住民の生活環境が損なわれないようにその地域の状況に応じた規制をし、必要に応じて立ち入り調査・指導をしています。その支援で特定悪臭物質の測定業務や官能試験業務に携わってきました。国の悪臭防止法では、当初は機器測定法による臭気物質の濃度による規制が行われてきたのですが、現在は「三点比較式臭袋法」という官能試験法も併せて採用されています。
「三点比較式臭袋法」は東京都が開発した方法で、「におわなくなるまでの希釈倍数」を特別な装置を使わず手軽に求める方法で、現在は多くの自治体で採用されています。この東京都の「三点比較式臭袋法」の開発に当社も関わらせて頂きました。工場や事業者の方が自主管理の調査をしたいと依頼してくること際には、このような経験を活かしています。

全国に2社しかない認定事業所の1つ

―幅広い調査に対応していますね

公益社団法人におい・かおり環境協会では、測定精度が高く、専門的かつ適正な測定が実施できる事業所の認定を行っているのですが、当社は第1種臭気測定認定事業所を取得しています。第1種臭気測定認定事業所は全国に2社しかないので、評価機関としての信頼を感じてもらいやすいのではないでしょうか。
臭気物質のほとんどは有機物で、あらゆるものから発せられると言っても過言ではありません。ですから、様々な分野の様々な知識と経験が要求されます。臭気対策や性能評価の試験方法を設計する際には、それぞれの技術者が持つ知識と経験を活かして案を出し合います。これにより、お客様のご要望に幅広い視野で対応するとともに、知識と経験の共有も図ることができます。これまで数をこなしている分、発想も広くなりますね。

―官能試験はどのようにしているのでしょうか?

官能試験法では、普通の臭気を普通に感じられる人に臭気を嗅ぎ分けるパネルになってもらうことが一番良く、近所の一般の主婦の方々をパネルとして採用しています。まず嗅覚検査で正常な嗅覚であることを確認し、ムラが出ないようにある程度訓練を繰り返します。安定した判定ができるようになった段階で実試験に投入します。もともと「三点比較式臭袋法」は6名のパネルで実施することを標準としているのですが、統計的な解析をしたい場合は6名では足りません。たとえば2つのにおいを嗅ぎ比べて有意差があるかどうかを判定する場合や、臭気強度、快・不快度などを測る試験では多人数のパネルを集めて行っています。

―機器分析の対応種類も豊富ですね

においの成分を検出・分析できる多種類の機械を用意しているのがこの「におい・かおりLab」です。分析対象成分の性質にあわせてサンプリング方法も測定装置も変わります。低濃度まで測定するため大量のガスを吸引する必要がある成分もあります。屋外の環境調査なら問題ありませんが、室内試験の場合、試験空間から設計することもあります。また、当社は悪臭防止法で定められている特定悪臭物質以外の様々な臭気成分の分析にも対応します。特定悪臭物質は長年、測定方法に大きな変更がないのですが、それ以外の成分は新しい測定方法の検討も必要で、これまで実施してきた経験が活きる領域です。さらに、試験だけでなく、においに関するコンサルティングでご支援することもあります。においの発生現場や製品開発現場に当社の技術者が伺って、実際に現場を確認しながら適切な調査や試験方法をご提案し、結果をもとに対策等のお手伝いをすることもあります。

製品の性能評価のニーズに幅広く対応

―今後の展望を教えてください

嗅覚は未だ謎が多く、「嗅覚受容体」が発見されたのが1991年とごく最近で、日々解明が進み、注目されている分野です。「におい・かおりLab」では、においや嗅覚を研究している学術会、悪臭の規制を行っている行政、実際の現場で苦慮している民間事業者、それぞれとの関わりの中で得た知識と経験を活かし、におい・かおりに関わる様々な課題解決に貢献するようこれからもがんばっていきます。老舗のノウハウを持つ第三者評価機関として、客観性あるデータを提供することが役割ですので、案件ごとに最適な形での貢献を目指します。我々がまだ知らないところに、におい・かおりに関する課題があるのかもしれません。今回の展示会では今まで接点のなかった方と多く出会える機会ですので、どのようなにおい・かおりの課題があるのか、広く情報収集もしたいと考えています。

―どのような展示になる予定ですか?

あらゆるにおい・かおりの評価・分析に使って頂けることを是非広めたいと思い、今回出展を決めました。たとえば消臭剤や脱臭剤、空気清浄機など製品の性能評価をしたい方、あるいは建物や店舗などの臭気で困っている方、におい・かおりに関する第三者評価を活用したいとお考えの方など、どなたでも気軽にお立ち寄りいただきたいですね。展示自体はパネルやパンフレット中心ですが、専門の技術者がブースで対応いたします。目的やニーズに応じて最適な調査や試験手法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。