マネジメントに活かせる文脈「人ありきの経営」

 異色の経営者 川嶋謙氏(アスクラボ株式会社 CEO)× 知恵の箱編集人
 アスクラボCEOの川嶋謙氏がアスクラボメールマガジンとして発信されてきたコンテンツを、知恵の箱編集人の視点から、そのコンテンツの切直しを試みるコラボコンテンツです。
 人をいかすこと、数字を上げることなど「経営と人」について考えるきっかけを提供することを狙いとしています。
 川嶋氏は、「課題解決は全社員で」「仕事ありきではなく人ありき」「人を活かす」など人間の本質を考えながら、経営と製品開発、サービス提供を実行されている経営者のおひとりです。(知恵の箱編集人より)

リーダーの条件(2007年8月6日配信)

私の企業経営に大きな影響を与えたのが、今から10年ほど前に聞いたある講演でした。その講演は、元ゼロ戦パイロットで撃墜王と呼ばれた坂井三郎先生の「限界におけるリーダーの条件」という内容でした。

講演の最初に坂井先生は先ず、私の一番の自慢は敵機を何機撃墜したかという数ではなく、出撃で部下を戦死させたことが少ないということですと話されました。空中戦で部下を戦死させないための方法は一つ、それはいかに相手より早く相手を見つけるかということで、そのために毎晩基地の滑走路に部下と寝転び、夜空の星を見ていたとのことでした。

大変興味深い話題がいくつもありましたが、特に印象に残ったのが次のお話しでした。ある出撃の帰り、悪天候で視界が非常に悪くなり、リーダーである坂井先生にも基地の場所がわからないような状態となったそうです。その上飛行機の燃料も残り少なくなり、さすがに坂井先生ご自身も、部下を引き連れて無事に基地まで帰れるかどうかと、不安な思いをされたそうです。

先生が言われるには、リーダーが不安になると部下が即それを感じ取り、編隊が乱れてより危険が増すそうです。案の定、その悪天候の際は編隊が乱れ、このままでは危険な状態に陥ると思い、どうやって部下の不安を解消するかを考えたそうです。そして、出撃する時に配給されたおにぎりがあることを思い出し、ゼロ戦の風防をあけて部下に見えるようにおにぎりを食べたそうです。

それを見た部下たちは、この状態で隊長がおにぎりを食べているのだから、隊長は基地の場所を把握されているのだと安心し、編隊は元通りにそろい、残り燃料もぎりぎり一杯のところで全員基地まで帰ることができたとのことでした。

この講演を聴いて、私は企業経営に置き換えて考えてみました。そして、予算数字を追いかけて達成したことのみの成果だけでなく、部下を育てる必要性を再認識するとともに、会議という名目で上層部の不安を管理者に広げ、さらに管理者の不安を現場に広げる無意味さを改めて反省させられました。

知恵の箱編集人から

10年以上前になるが、自衛隊幹部の方が、民間企業研修に参加された折にお聞きしたことから。
「上官が突撃と言って、兵隊は突撃するでしょうか」という問いに対して、あっさりと「しません」という回答でした。命令や上司の言葉で、自分の命をかけて動くものではないという普通の回答でした。
しかしだからこそ、幹部は命令で動いてもらうようにするために、命を預けても良いと思われるまでの信頼を得るために、心身ともに鍛錬しているのだと説明いただきました。その時紹介いただいたのが、海軍練習艦隊における心得をまとめた「次室士官心得」で、それは正に“人間”を育てる心得がまとめられている。

アスクラボ株式会社

組織が待つ能力(組織力)を引き出し、営業力、提案力の向上と社内コニュニケーションの向上に結び付けることができるシステム「PROナビ」を開発、販売しています。また、川嶋氏自らの200社以上へのトップへの営業体験から作り上げた営業力を高めるための考え方、スキルを開示して、それらを普及ならびに指導なども行っている。
同社ホームページ:http://www.asclab.com/

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