入社2年目、邦雄と学ぶ「会社の数字、基礎の基礎」

 “現場”“現物”“現実”の3つの“現”を重視する三現主義の考え方は、机上の空論ではない現実に即した問題解決を図るための戒めとして、JMAが長年にわたって重視してきた考え方です。
 ますます企業経営が複雑化・高度化する中、現実を捉えた問題解決を図るには「会社の数字」に関する知識が必要不可欠な武器となります。
 そこでこのシリーズでは「会社の数字」を利用するに当たり、必要となる知識を分かりやすく解説して参ります。

ロングテール実現の条件(1)

「ところで伯父さん、実は今、社内で若手社員を対象に新規事業の勉強会が始まっていて、僕もそのメンバーに選ばれたんだ。いくつかのチームに分かれて研究をしているんだけど、その中から良いアイデアが出てくれば、最終的には社長を初めとする経営陣へのプレゼンをする事が出来て、そこで認められれば実際に会社の事業として採用される可能性もあるんだ。」
「ほう、すごいじゃないか」
「ありがとう。もちろん中心になるのは中堅一歩手前の先輩達で、まあ僕たちは『その手伝いをしながら勉強しろ』ってことなんだけどね。それでも僕だって自分なりに良いアイデアを出したいし、せめて先輩達の足を引っ張らない程度にはならないといけないなあとは思っているんだ。」
「おう、そりゃ良い心掛けだな」
「そこで、その勉強会に関連していくつか教えて欲しい事があるんだけど、良いかなあ?」
「ああ、もちろん教えられることがあれば教えるよ」
「そう、ありがとう。じゃあ、ネットビジネスとかを考える中で良く出て来る『ロングテール』について教えて欲しいいんだけど、良いかなあ」
「どんなことだい?」
「うん。まあ自分なりにも色々な本を読んでみたりして、それなりに仕組みなどについては何となくイメージを掴むことは出来たとは思っているんだけど、実際の事業に生かそうと考えたとき、果たして本当にそれが使えるものなのか、端的に言って会社が儲かるようになるものなのかどうか、何となく釈然としないというか確信が持てないというか・・・」
「なるほど。確かに初心者向けの説明などではどうしても、背景とか周辺情報とかについてはある程度端折った説明にならざるをえないだろうから、実際に事業で活用しようとしたときに、どこが重要な部分なのか実は良く分かっていないということは、ままあることだ」
「その通りなんだ。だから僕が間違って理解しているかもしれないので、出来れば全体の復習みたいな所から説明を始めてもらって、実際に応用する場合の胆みたいな部分を、財務や会計の視点も交えて説明してもらえたら、とても助かるんだけど」
「そうか、よし分かった。じゃあロングテールの説明に入る前に質問だけど、邦雄はロングテールが注目を浴びた理由がなぜだか分かるかい?」
「ああ、例のパレートの法則とか80:20の法則とかが常識になっている中で、それとは真逆といえるようなことが、実際の事業の中で起こりうる可能性を示した所かなあ」
「おう、中々勉強しているじゃないか。じゃあ、パレートの法則とか80:20の法則とかについて、邦雄はどう理解しているか説明してもらえるかな?」
「うん。例えば、売上全体の80%は上位20%の顧客からもたらされているとか、使った時間の20%が全体の成果の80%生み出しているとか、そんな風に使うよねえ」
「まあ、そんなところだな。じゃあ例えば売上全体の80%が、上位20%のいわゆる売れ筋商品からのものという場合、収益性を向上あるいは費用削減をしようとしたら、どうしたら良いと思う?」
「うん。僕なら、収益が上がっている商品は多く仕入れる一方で、そうでない商品は仕入れないようにするだろうな」
「そうだな。そうすれば確かに売上げは伸びるし、その一方で商品の管理費用や廃棄に伴う損失などを少なくすることが出来て収益と費用の両面から業績を向上させることが出来る。実際そういう戦略・戦術で成功した事例もたくさんあるし、なにより我々の日常の経験則に当てはめてみても至極腑に落ちるものだ。だから、こういう経験則に基づいた、ある種の法則性というのは覚えておいて損にはならないが、その反面で一種の思考停止ワードになる危険性もあるって事は理解しておく必要があるだろうな」
「え?どういうこと?僕も少しは勉強したから、ロングテールの話と関連があるだろうなあとは分かるんだけど」
「ああ、確かにそうだ。でも、それだけじゃないんだ」
(続く)

<豆知識>

経営分析(財務分析)
安全性分析を行う場合の主な指標(1)

安全性分析:主に貸借対照表のデータを用い、企業の経営の安定性を分析する方法。
事業活動の継続には、個々の債務の支払時点において支払能力を有することが不可欠なことから企業の支払能力を測定するために行われる。

<当座比率>  企業の短期の負債に対する支払い能力を判断する指標。100%以上が望ましい.
 ・当座比率:当座資産/流動負債
 ※当座資産:現・預金、受取手形、売掛金、一時所有の有価証券等
     :流動資産−棚卸資産

<流動比率>  資金の流動性を示す指標、1年以内の収支倍率を表す。100%以上が望ましい(米国では200%が望ましいとされる)
 ・流動比率:流動資産/流動負債
 ※数値と支払い能力の関係
 ・数値が高い:短期的な支払い能力が高い
 ・数値が低い:短期的な支払い能力が低い
(但し、低すぎる場合は健全性に問題が生じているとみなされ、高すぎる場合は資金が有効に活用されておらず、遊休資産が多いとみなされてLBOの対象になる危険性が高くなる。)

<インタレスト・カバレッジ・レシオ>  P/L上の数値を使って利子の支払能力を示すことができる指標。金融機関の融資や格付会社が社債の格付けを行う際に重視される
 ・インタレスト・カバレッジ・レシオ:事業利益/金融費用
 ・事業利益:営業利益+受取利息+配当金)
 ・金融費用:支払利息+割引料
 ※支払利息に対する、営業キャッシュフローと支払利息と税金の合計額の比率を指す場合もある。